2009年08月03日
民主党政策集(INDEX 2009)医療政策詳細版
午前中時間を割いて民主党の政策集で特に皆様が心配されている医療政策について自分なりにまとめてみましたので書き込みます。
民主党政策集(INDEX 2009)医療政策詳細版
●国の責任で社会保障制度を維持発展
自公政権が「骨太の方針2006」で打ち出した社会保障費削減方針(年2200億円、5年間で1兆1000億円)は撤廃します。
●医療は提供する側と受ける側の協働作業
医療は提供する側と受ける側の協働作業です。各界・各層の代表の意見を幅広く聴取し、医療の抜本改革に関する目標と工程を定めた基本方針を策定、建議する会議体の枠組みと、民主党政権が責任を持ってその実現を図る体制を確立します。
●予防医学の推進
子宮頸がんの予防に有効なヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの日本での開発を推進し、任意接種に対する助成制度を創設します。重篤な小児の髄膜炎の主要原因菌であるヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンの定期接種化を図ります。新型インフルエンザ対策も踏まえ、肺炎球菌ワクチン接種の対象年齢を拡大します。
自治体の保健師採用基準の年齢要件の撤廃を徹底し、保健師の採用を積極的に進めます。
●医療の安心・納得・安全
患者・家族の立場に立って、医師・医療機関との意思疎通を円滑化する「医療対話仲介者(メディエーター)」を一定規模以上の医療機関に配置します。
●医療事故の原因究明および再発防止
医療事故が起こったときに、患者・家族の立場に立った真相の究明とともに、再発防止や患者側の納得が得られる仕組みをつくります。
事故情報については、指定分析機関への届出義務をすべての医療機関に拡大し、分析や再発防止策の提言体制を強化します。
●無過失補償制度の創設
医療提供側の過失が明確でない医療事故により死亡もしくは高度の障害・後遺症が生じた患者を短期間のうちに救済するため、また、医事紛争の早期解決を図るため、すべての公的保険医療機関、薬局、介護施設において発生した医療等事故事例全般を対象に、訴訟提起権とは区別した公的な無過失補償制度を創設します。補償原資は保険料、健康保険料、公的支出とし、制度運営のための基金を創設します。
●後期高齢者医療制度の廃止と医療保険の一元化
2008年4月から75歳以上の高齢者を対象として始まった後期高齢者医療制度は国民を年齢で差別し、高齢化率が上昇するほど75歳以上の保険料負担が増える仕組みです。民主党はこの制度を廃止し、医療制度に対する国民の信頼を回復します。廃止に伴う国民健康保険の財政負担増は国が支援します。
●包括払い制度の推進
国内どこに住んでいても、医学的根拠に基づく医療(EBM)が受けられるよう、急性期病院において、より一層の包括払い制度(特定の疾患に定額の報酬が支払われる制度)の導入を推進します。同時にクリティカルパス(*)を可能な限り導入し、療養病床においては食費・居住費を含めた包括払い制度を導入します。超急性期・回復期・維持期リハビリテーションについては、その重要性を考慮し、当面は出来高払い制度としますが、スタッフの充実度および成果を検証し、将来的には包括払い制度に組込みます。
*クリティカルパス:医療の内容を標準化し、質の高い医療を提供することを目的として、疾患ごとに入院から退院までの経過や検査の予定などをスケジュール表のようにまとめたもの。
●新しい医療技術、医薬品の保険適用の迅速化
製造・輸入の承認や保険適用の判断基準を明確にして、審議や結果をオープンにし、その効果や安全性が確立されたものについて、速やかに保険適用します。
●後発医薬品(ジェネリック薬品)
医療を提供する側と受ける側とが医療の情報を共有しつつ、患者負担の軽減、医療連携を推進するという観点から、後発医薬品の普及、電子カルテによる診療情報の伝達網等の整備を推奨します。
●医師養成数を1.5倍に増加
医療崩壊をくい止めるため、当面、OECD諸国の平均的な人口当たりの医師数(人口1000人当たり医師3人)を目指します。
大学医学部定員を1.5倍にします。地域枠、学士枠を拡充し、医師養成機関と養成に協力する医療機関等に対して、十分な財政的支援を行うとともに就学する者に対する奨学金を充実させます
●現役医師の有効活用策で医療従事者不足を軽減
救急、産科、小児、外科、へき地、災害等の医療提供体制を再建するため、医療機関の役割分担を考慮した連携の推進、短時間正規勤務制の導入、国公立病院などの定数を増やし、地域医療の維持に資する兼業は解禁することなどにより、現役医師の活用を進めます。医師の国内研修や国外研修の支援、地域学士入学生に対する奨学金の支給、開業医による地域中核病院の外来診療や夜間診療の分担などを促進します。
●臨床研修の充実
一貫性のある学部教育、前期・後期臨床研修を通じて質の高い専門医を養成し、専門医が研修医の指導医となる臨床研修システムの構築を図ります。後期卒後臨床研修については、総合臨床医研修、へき地医療研修、産科・救急・小児・外科医療研修などの分野を中心にインセンティブを付与することによって、偏在を解消します。
●勤務医の就業環境の改善
医師養成、活用策により実働医師数を増加させるとともに、医療従事者の勤務条件を改善し、勤務医の離職を防ぎ、国民に良質で安全な医療を提供します。医師の交代勤務制の導入を促進し、勤務医の不払い残業を是正し、当直を夜間勤務に改めます。子育てや介護をしながら勤務する医療従事者が働き続けられるよう、また復職しやすいよう、院内保育所の整備やオープン化、保育所への優先入所、病児保育の充実、育児支援などを拡充します。
●医療従事者の職能拡大と定員増
薬剤師、理学療法士、臨床検査技師などコメディカルスタッフの職能拡大と増員を図り、医療提供体制を充実させ、医療事故防止、患者とのコミュニケーション向上を図ります。病院勤務医が診療のみならず、診断書や意見書、紹介状の作成など事務手続きをしなければならないことにより、医師不足に拍車がかかっていることから、医師の事務を分担する医療事務員(医療クラーク)の導入を支援します。
●救急搬送・救急医療の連携強化
救急業務を市町村から原則的に都道府県に移管し、救急本部に救急医療の専門的知識・経験がある医師を24時間体制で配置します。ドクターカー(現在96台=08年8月現在)をすべての救命救急センター(現在209カ所)に配置し、消防防災ヘリ(現在72機)をドクターヘリとしても活用できるよう高規格化し、救急本部ごとのドクターヘリ(現在16機)配備を目指します。
救急救命士の職能拡大を着実に図ります。
●国立高度専門医療センター・国立病院の機能の明確化
国立高度専門医療6センター(以下、NC)は平成22年度から独立行政法人となりますが、独法化の際にはこれまでの長期債務を切り離し、これを処理するスキーム確立に取り組みます。
また、国立大学病院についても、同様の債務切り離し措置に取り組みます。同時に、大幅に削減されてきた国立大学病院運営費交付金については、速やかに国立大学法人化直後の水準まで引き上げ、十分な額を確保するよう取り組みます。
●地域医療を守る医療機関を維持
医師確保などを進め、看護師、医療クラーク、医療ソーシャルワーカー、医療メディエーター、補助者などの増員に努め、地域医療を守る医療機関の入院については、その診療報酬を増額します。その際、患者の自己負担が増えないようにします。4疾病5事業を中核的に扱う公的な病院(国立・公立病院、日赤病院、厚生年金病院等)を政策的に削減しません。中医協(中央社会保険医療協議会)の構成・運営等の改革を行います。
*4疾病5事業:4疾病はがん、脳卒中、急性心筋梗塞(こうそく)、糖尿病。五つの事業は救急医療、災害時医療、へき地医療、周産期医療、小児医療
●レセプトオンライン請求の原則化
レセプトのオンライン請求を「完全義務化」から「原則化」に改め、過疎地の診療所をはじめとする小規模医療機関の撤退などに象徴される医療現場の混乱や地域医療の崩壊が起こらないようにします。外来管理加算の5分要件に関しては、外来管理に時間要件はなじまないことを踏まえ、診療所負担の軽減を図るため撤廃します。
●がん対策
国内どこに住んでいても最善のがん検診・治療が受けられる体制を確立します。乳がんや子宮頸がん、大腸がん、肺がん、胃がんなど有効性が高いがん検診受診率を大幅に向上させるよう受診しやすい体制を整備を行います。がん患者や家族も加わった「がん対策推進協議会」の運営や「がん対策推進基本計画」が着実に推進されるよう取り組みます。また、日本のがん対策の現状把握、ならびに今後の推進のため、がん登録の法制化を検討します。
●安心して産み育てることのできる医療
周産期母子医療センターのもつ機能を明確化・再分類・整備拡充し、産科病院のネットワーク化を推進します。都道府県の責任で救急本部業務と連携させながら周産期情報システムおよび搬送先照会システムを改善します。
現在の出産一時金(2009年10月から42万円)を見直し、国からの助成を加え、出産時に55万円までの助成を行います。新生児特定集中治療室(NICU)を現行2000床から当面2500床へと増床し、後方支援病床を拡充します。
●歯科医療改革
歯の健康の保持の推進に関する法律を成立させます。また、身体障害者手帳の交付申請の添付書類として歯科医師の診断書は認められていませんが、そしゃく機能の障害については申請手続に歯科医師の診断書を認めるよう、身体障害者福祉法を改正します。
●新型インフルエンザ対策
日中韓を中心に、東アジア全体で新型インフルエンザに対応できる体制をつくります。
徹底した情報開示を恒常化し、新型インフルエンザ行動計画ガイドラインを全面的に見直し、検疫法のあり方を検討します。ワクチン開発製造・備蓄・流通体制の拡充及び海外との連携を図ります。新型インフルエンザ対策によって従来の病院機能が低下しないよう、病院や医療従事者に対する支援等を充実させます。高病原性鳥インフルエンザが発生した養鶏場に対する経営支援策も強化します。強毒性新型インフルエンザのプレパンデミックワクチンを希望者全てが受けられる体制を整備するとともに、輸血を介した感染防止のための新技術を導入します。
●アスベスト健康対策
被害者の属性により救済内容に格差が生じない「隙間のない救済」を実現するため、縦割り行政を排し、情報公開、情報開示の促進、患者・家族をはじめとする関係者の参加を確保しながら、アスベスト対策を総合的に推進します。
●カネミ油症被害者対策
ダイオキシン類による健康被害の全体像を国の責任で把握するとともに、医療の自己負担分の支援や健康管理手当、特別遺族給付金の支給等、現在もなお健康被害に苦しむ被害者の支援に取り組みます。
●肝炎総合対策
B型・C型肝炎患者が受けるインターフェロンその他の抗ウイルス剤治療の自己負担額の上限を月額1万円にします。治療のために休業・休職する患者の生活の安定や、インターフェロン以外の治療に対する支援にも取り組みます。
●難治性疾患対策
新規指定や対象年齢拡大を望む様々な疾患の患者が必要な医療が受けられるよう、現行の難病対策及び希少疾病の新薬開発や保険適用の仕組みを抜本的に改革し、難病に関する調査研究及び医療費の自己負担の軽減を柱とする新たな法制度を整備します。
高額療養費制度に関し、白血病等、長期継続治療を要する患者の自己負担軽減について検討を進めます。
●心身医学
心身医療の提供体制の整備を着実に進めるとともに、不登校、引きこもり、摂食障害等、心の悩みや問題を抱える青少年に対する診療体制を整備します。また、乳幼児健診への専門スタッフの参加等を検討します。本人だけでなく一緒に悩んでいる家族に対しても支援を行います。カウンセリングの再評価を行い、カウンセラーの資格、診療報酬のあり方を見直し、薬剤治療を中心としなくとも適切な治療ができるようにします。
●統合医療の確立ならびに推進
漢方、健康補助食品やハーブ療法、食餌療法、あんま・マッサージ・指圧、鍼灸、柔道整復、音楽療法といった相補・代替医療について、予防の観点から、統合医療として科学的根拠を確立します。アジアの東玄関という地理的要件を活かし、日本の特色ある医療を推進するため、専門的な医療従事者の養成を図るとともに、調査・研究の機関の設置を検討します。
●長期療養病床計画
民主党は2025年の推計入院患者54万人の7割すなわち38万床が必要病床であり、残る17万人はいわゆる社会的入院と解し、在宅あるいは「終の棲家」としての施設としての拡充を図るべきであるとしました。38万床は2006年の療養病床数に一致します。つまり、現在の療養病床は居住施設への転換を図りつつ、急性期病床から亜急性期病床へ、亜急性期病床から療養病床への転換を図りながら、総枠としての療養病床38万床を維持しなければなりません。療養病床は、食事、居住も医療の一環として捉え、基本の食事・居住費を含んだ包括払いとし、プラスアルファの部分を選定療養とし、終生、医療・介護を必要とする患者さんにとっては、終の棲家で訪問医療・看護・介護を受ける、という観点から個室形態が望ましいと考えます。
マニフェストではありませんが、是非実施していただきたいと思います。
民主党政策集(INDEX 2009)医療政策詳細版
●国の責任で社会保障制度を維持発展
自公政権が「骨太の方針2006」で打ち出した社会保障費削減方針(年2200億円、5年間で1兆1000億円)は撤廃します。
●医療は提供する側と受ける側の協働作業
医療は提供する側と受ける側の協働作業です。各界・各層の代表の意見を幅広く聴取し、医療の抜本改革に関する目標と工程を定めた基本方針を策定、建議する会議体の枠組みと、民主党政権が責任を持ってその実現を図る体制を確立します。
●予防医学の推進
子宮頸がんの予防に有効なヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの日本での開発を推進し、任意接種に対する助成制度を創設します。重篤な小児の髄膜炎の主要原因菌であるヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンの定期接種化を図ります。新型インフルエンザ対策も踏まえ、肺炎球菌ワクチン接種の対象年齢を拡大します。
自治体の保健師採用基準の年齢要件の撤廃を徹底し、保健師の採用を積極的に進めます。
●医療の安心・納得・安全
患者・家族の立場に立って、医師・医療機関との意思疎通を円滑化する「医療対話仲介者(メディエーター)」を一定規模以上の医療機関に配置します。
●医療事故の原因究明および再発防止
医療事故が起こったときに、患者・家族の立場に立った真相の究明とともに、再発防止や患者側の納得が得られる仕組みをつくります。
事故情報については、指定分析機関への届出義務をすべての医療機関に拡大し、分析や再発防止策の提言体制を強化します。
●無過失補償制度の創設
医療提供側の過失が明確でない医療事故により死亡もしくは高度の障害・後遺症が生じた患者を短期間のうちに救済するため、また、医事紛争の早期解決を図るため、すべての公的保険医療機関、薬局、介護施設において発生した医療等事故事例全般を対象に、訴訟提起権とは区別した公的な無過失補償制度を創設します。補償原資は保険料、健康保険料、公的支出とし、制度運営のための基金を創設します。
●後期高齢者医療制度の廃止と医療保険の一元化
2008年4月から75歳以上の高齢者を対象として始まった後期高齢者医療制度は国民を年齢で差別し、高齢化率が上昇するほど75歳以上の保険料負担が増える仕組みです。民主党はこの制度を廃止し、医療制度に対する国民の信頼を回復します。廃止に伴う国民健康保険の財政負担増は国が支援します。
●包括払い制度の推進
国内どこに住んでいても、医学的根拠に基づく医療(EBM)が受けられるよう、急性期病院において、より一層の包括払い制度(特定の疾患に定額の報酬が支払われる制度)の導入を推進します。同時にクリティカルパス(*)を可能な限り導入し、療養病床においては食費・居住費を含めた包括払い制度を導入します。超急性期・回復期・維持期リハビリテーションについては、その重要性を考慮し、当面は出来高払い制度としますが、スタッフの充実度および成果を検証し、将来的には包括払い制度に組込みます。
*クリティカルパス:医療の内容を標準化し、質の高い医療を提供することを目的として、疾患ごとに入院から退院までの経過や検査の予定などをスケジュール表のようにまとめたもの。
●新しい医療技術、医薬品の保険適用の迅速化
製造・輸入の承認や保険適用の判断基準を明確にして、審議や結果をオープンにし、その効果や安全性が確立されたものについて、速やかに保険適用します。
●後発医薬品(ジェネリック薬品)
医療を提供する側と受ける側とが医療の情報を共有しつつ、患者負担の軽減、医療連携を推進するという観点から、後発医薬品の普及、電子カルテによる診療情報の伝達網等の整備を推奨します。
●医師養成数を1.5倍に増加
医療崩壊をくい止めるため、当面、OECD諸国の平均的な人口当たりの医師数(人口1000人当たり医師3人)を目指します。
大学医学部定員を1.5倍にします。地域枠、学士枠を拡充し、医師養成機関と養成に協力する医療機関等に対して、十分な財政的支援を行うとともに就学する者に対する奨学金を充実させます
●現役医師の有効活用策で医療従事者不足を軽減
救急、産科、小児、外科、へき地、災害等の医療提供体制を再建するため、医療機関の役割分担を考慮した連携の推進、短時間正規勤務制の導入、国公立病院などの定数を増やし、地域医療の維持に資する兼業は解禁することなどにより、現役医師の活用を進めます。医師の国内研修や国外研修の支援、地域学士入学生に対する奨学金の支給、開業医による地域中核病院の外来診療や夜間診療の分担などを促進します。
●臨床研修の充実
一貫性のある学部教育、前期・後期臨床研修を通じて質の高い専門医を養成し、専門医が研修医の指導医となる臨床研修システムの構築を図ります。後期卒後臨床研修については、総合臨床医研修、へき地医療研修、産科・救急・小児・外科医療研修などの分野を中心にインセンティブを付与することによって、偏在を解消します。
●勤務医の就業環境の改善
医師養成、活用策により実働医師数を増加させるとともに、医療従事者の勤務条件を改善し、勤務医の離職を防ぎ、国民に良質で安全な医療を提供します。医師の交代勤務制の導入を促進し、勤務医の不払い残業を是正し、当直を夜間勤務に改めます。子育てや介護をしながら勤務する医療従事者が働き続けられるよう、また復職しやすいよう、院内保育所の整備やオープン化、保育所への優先入所、病児保育の充実、育児支援などを拡充します。
●医療従事者の職能拡大と定員増
薬剤師、理学療法士、臨床検査技師などコメディカルスタッフの職能拡大と増員を図り、医療提供体制を充実させ、医療事故防止、患者とのコミュニケーション向上を図ります。病院勤務医が診療のみならず、診断書や意見書、紹介状の作成など事務手続きをしなければならないことにより、医師不足に拍車がかかっていることから、医師の事務を分担する医療事務員(医療クラーク)の導入を支援します。
●救急搬送・救急医療の連携強化
救急業務を市町村から原則的に都道府県に移管し、救急本部に救急医療の専門的知識・経験がある医師を24時間体制で配置します。ドクターカー(現在96台=08年8月現在)をすべての救命救急センター(現在209カ所)に配置し、消防防災ヘリ(現在72機)をドクターヘリとしても活用できるよう高規格化し、救急本部ごとのドクターヘリ(現在16機)配備を目指します。
救急救命士の職能拡大を着実に図ります。
●国立高度専門医療センター・国立病院の機能の明確化
国立高度専門医療6センター(以下、NC)は平成22年度から独立行政法人となりますが、独法化の際にはこれまでの長期債務を切り離し、これを処理するスキーム確立に取り組みます。
また、国立大学病院についても、同様の債務切り離し措置に取り組みます。同時に、大幅に削減されてきた国立大学病院運営費交付金については、速やかに国立大学法人化直後の水準まで引き上げ、十分な額を確保するよう取り組みます。
●地域医療を守る医療機関を維持
医師確保などを進め、看護師、医療クラーク、医療ソーシャルワーカー、医療メディエーター、補助者などの増員に努め、地域医療を守る医療機関の入院については、その診療報酬を増額します。その際、患者の自己負担が増えないようにします。4疾病5事業を中核的に扱う公的な病院(国立・公立病院、日赤病院、厚生年金病院等)を政策的に削減しません。中医協(中央社会保険医療協議会)の構成・運営等の改革を行います。
*4疾病5事業:4疾病はがん、脳卒中、急性心筋梗塞(こうそく)、糖尿病。五つの事業は救急医療、災害時医療、へき地医療、周産期医療、小児医療
●レセプトオンライン請求の原則化
レセプトのオンライン請求を「完全義務化」から「原則化」に改め、過疎地の診療所をはじめとする小規模医療機関の撤退などに象徴される医療現場の混乱や地域医療の崩壊が起こらないようにします。外来管理加算の5分要件に関しては、外来管理に時間要件はなじまないことを踏まえ、診療所負担の軽減を図るため撤廃します。
●がん対策
国内どこに住んでいても最善のがん検診・治療が受けられる体制を確立します。乳がんや子宮頸がん、大腸がん、肺がん、胃がんなど有効性が高いがん検診受診率を大幅に向上させるよう受診しやすい体制を整備を行います。がん患者や家族も加わった「がん対策推進協議会」の運営や「がん対策推進基本計画」が着実に推進されるよう取り組みます。また、日本のがん対策の現状把握、ならびに今後の推進のため、がん登録の法制化を検討します。
●安心して産み育てることのできる医療
周産期母子医療センターのもつ機能を明確化・再分類・整備拡充し、産科病院のネットワーク化を推進します。都道府県の責任で救急本部業務と連携させながら周産期情報システムおよび搬送先照会システムを改善します。
現在の出産一時金(2009年10月から42万円)を見直し、国からの助成を加え、出産時に55万円までの助成を行います。新生児特定集中治療室(NICU)を現行2000床から当面2500床へと増床し、後方支援病床を拡充します。
●歯科医療改革
歯の健康の保持の推進に関する法律を成立させます。また、身体障害者手帳の交付申請の添付書類として歯科医師の診断書は認められていませんが、そしゃく機能の障害については申請手続に歯科医師の診断書を認めるよう、身体障害者福祉法を改正します。
●新型インフルエンザ対策
日中韓を中心に、東アジア全体で新型インフルエンザに対応できる体制をつくります。
徹底した情報開示を恒常化し、新型インフルエンザ行動計画ガイドラインを全面的に見直し、検疫法のあり方を検討します。ワクチン開発製造・備蓄・流通体制の拡充及び海外との連携を図ります。新型インフルエンザ対策によって従来の病院機能が低下しないよう、病院や医療従事者に対する支援等を充実させます。高病原性鳥インフルエンザが発生した養鶏場に対する経営支援策も強化します。強毒性新型インフルエンザのプレパンデミックワクチンを希望者全てが受けられる体制を整備するとともに、輸血を介した感染防止のための新技術を導入します。
●アスベスト健康対策
被害者の属性により救済内容に格差が生じない「隙間のない救済」を実現するため、縦割り行政を排し、情報公開、情報開示の促進、患者・家族をはじめとする関係者の参加を確保しながら、アスベスト対策を総合的に推進します。
●カネミ油症被害者対策
ダイオキシン類による健康被害の全体像を国の責任で把握するとともに、医療の自己負担分の支援や健康管理手当、特別遺族給付金の支給等、現在もなお健康被害に苦しむ被害者の支援に取り組みます。
●肝炎総合対策
B型・C型肝炎患者が受けるインターフェロンその他の抗ウイルス剤治療の自己負担額の上限を月額1万円にします。治療のために休業・休職する患者の生活の安定や、インターフェロン以外の治療に対する支援にも取り組みます。
●難治性疾患対策
新規指定や対象年齢拡大を望む様々な疾患の患者が必要な医療が受けられるよう、現行の難病対策及び希少疾病の新薬開発や保険適用の仕組みを抜本的に改革し、難病に関する調査研究及び医療費の自己負担の軽減を柱とする新たな法制度を整備します。
高額療養費制度に関し、白血病等、長期継続治療を要する患者の自己負担軽減について検討を進めます。
●心身医学
心身医療の提供体制の整備を着実に進めるとともに、不登校、引きこもり、摂食障害等、心の悩みや問題を抱える青少年に対する診療体制を整備します。また、乳幼児健診への専門スタッフの参加等を検討します。本人だけでなく一緒に悩んでいる家族に対しても支援を行います。カウンセリングの再評価を行い、カウンセラーの資格、診療報酬のあり方を見直し、薬剤治療を中心としなくとも適切な治療ができるようにします。
●統合医療の確立ならびに推進
漢方、健康補助食品やハーブ療法、食餌療法、あんま・マッサージ・指圧、鍼灸、柔道整復、音楽療法といった相補・代替医療について、予防の観点から、統合医療として科学的根拠を確立します。アジアの東玄関という地理的要件を活かし、日本の特色ある医療を推進するため、専門的な医療従事者の養成を図るとともに、調査・研究の機関の設置を検討します。
●長期療養病床計画
民主党は2025年の推計入院患者54万人の7割すなわち38万床が必要病床であり、残る17万人はいわゆる社会的入院と解し、在宅あるいは「終の棲家」としての施設としての拡充を図るべきであるとしました。38万床は2006年の療養病床数に一致します。つまり、現在の療養病床は居住施設への転換を図りつつ、急性期病床から亜急性期病床へ、亜急性期病床から療養病床への転換を図りながら、総枠としての療養病床38万床を維持しなければなりません。療養病床は、食事、居住も医療の一環として捉え、基本の食事・居住費を含んだ包括払いとし、プラスアルファの部分を選定療養とし、終生、医療・介護を必要とする患者さんにとっては、終の棲家で訪問医療・看護・介護を受ける、という観点から個室形態が望ましいと考えます。
マニフェストではありませんが、是非実施していただきたいと思います。
Posted by 天野 まさたか at 12:05│Comments(0)
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